2022.06.03
蒲鉾の主原料が歴史的な暴騰!
6月2日(木)の日経に大きく蒲鉾業界の原材料の話題が報じられていました。
このブログでも何度も記事を書いていますが、ここに来てさらなる潮目が変わって来ている状況です。
しかも悪い方向に…。
この新聞の内容は⇒こちらをクリック
今回の記事、概ね業界の現状やその背景はきちんと調べて書かれている方だとは思いますが、読めば分かる通り、取材先や目線が大手水産会社や大手練り製品製造会社。
特に気に入らないのが、
日本国内の水産練り製品需要はコロナ下で堅調だったという話。
総務省の家計調査でも1世帯の魚肉練り製品の支出額がコロナ前に比べて2%ほど高いという話。
どれも事実なんでしょう。
しかし地方の我々のような観光、土産、地場産品というマーケットで商売をしている多くの中小企業からすると、コロナ下で大打撃を受けたという事実と、それがいまだに戻っていないという現実がきちんと説明されていません。
それと原料価格を抑えるために東南アジアで水揚げされるイトヨリダイのすり身を使用して来たという記事。
これも全くトンチンカンな話で、各社、蒲鉾の味、品質を上げるために工夫し、研究しながら自分たちの目指す蒲鉾を作るために独自のブレンドを確立して来たという事実があります。
そういう環境のところへ今回の話題である原料高騰問題が降りかかっているのです。
ベーリング海で獲れるスケソウダラは「冷凍すり身」という素晴らしい原料になります。
この「冷凍すり身」は日本の研究者たちが卵を取った後のスケソウダラの有効活用のために研究開発されたものです。
この素晴らしい原料を昔は日本の水産会社だけが価値を知り利用して来ましたが、今や世界中の水産関係の会社がその価値に気付いてしまったという経緯もあります。
「冷凍すり身」は世界共通語で「SURIMI」となっていることからも分かります。
ここ最近は年々、価格が上昇していましたが、今回は悪いことが複合的に重なって高騰している状況でした。
そこにロシアによるウクライナ侵攻。
エネルギー価格の高騰。
EC諸国などがスケソウダラ製品をロシアから米国にシフト。
世界的中から米国産のスケソウダラ製品に集中的に買いが入っています。
そしてコンテナ不足や円安なども複合的に絡まって、蒲鉾の主原料である「冷凍すり身」は歴史的な暴騰になっています。
この状況は、蒲鉾業界の努力だけでは何とも解決の策が無く、どうしても売価を上げざる得ない状況です。
当社も一部の製品ですが値上げをさせていただきました。
しかしこの環境が続けば、秋前にはさらなる値上げも考慮せざる得ません。
何卒、現在の状況をご理解賜りますようお願い申し上げます。